どうも、浜男です。
外出自粛ということもあり、大分久しぶりに本を読みました。(最近は漫画ばかりでしたが。。)
本でも漫画でも、私は一気に読むことが好きなのですが、その分忘れてしまうのも早いわけです。例えば、「とても良い本だった!泣けたー」と思っても、時間が経つとどんなストーリーだったけとなってしまいがち・・・。
さらに、時間がいくらでもあった学生時代と比べて、社会人では1冊1冊読んでいる時間が結構貴重だったりします。そんなわけで、簡単にでも感想めいたものを残しておきたいと最近強く思うようになりました。 ※映画はfilmarksでよいかなと思ってます
という訳でたまたま読んだ、白石一文さんの「翼」をレビューします。(Twitter連載小説として当時話題になっていたらしいです) ※ネタばれあります。
私は、白石さんといえば「一瞬の光」「僕のなかの壊れていない部分」「私という運命について」の3冊を読んだことがありました。
どれも非常に読みやすい文章で、かつ、生きるとは何かとか、愛とは何かといったとても思想的な作品だったのは覚えています。白石さん自身は、思想的にショーペンハウアーの影響を受けているようです。
ショーペンハウアーというと、なぜか島耕作を思い出す私ですが、白石さんの文章は一種のロマンチックさがあって割りと好きです。
「翼」の内容はこんな感じ。
東京の半導体メーカーに勤める田宮里江子は、ひょんな事がきっかけで、大学時代の親友の夫・長谷川岳志と10年ぶりに遭遇する。岳志は、親友の恋人でありながら、初対面でいきなりプロポーズしてきた男であった……。直木賞作家のTwitter連載小説として、新聞各紙(讀賣新聞、日本経済新聞)で取り上げられ話題となった恋愛小説。何度も読んで、何度も涙するという読者が続出した。鉄筆文庫の創刊第一作であり、直木賞作家・白石一文の文庫最新作。
本作でも、やはり、生きるとは何か、愛とは何かというテーマに重きを置かれてます。
この岳志という男が、聖子という女と結婚して子供がいるのにも関わらず、里江子を運命の人だとひたすらに思い続けるストーリーです。聖子は里江子の親友なので、里江子はひたすらに岳志を突っぱねます。もちろん運命なんて信じません。そして、里江子の周囲の人達も中々に不幸な人たちばかり。(里江子の弟の元カノも弟に運命を感じて、子供を秘密で産んだり。元上司の愛人が自殺したり。。)
最後までネタばれしちゃうと、結局、岳志が里江子に振られて、自殺します。人生の意味は愛でしかなくて、里江子と生きられないなら、と。
里江子は里江子で、周囲の人たちの影響で運命信者になります。岳志を振った後に運命を感じて(気づいて?)、岳志を探して闇から救おうとしたものの、既にもう・・・というバッドエンド。
たしかに自分のことをもっとも深く理解してくれている人間の死は、自分の死と限りなく近いのかもしれませんね。
最終的には、自分のことを非常に深く愛してくれた岳志が亡くなることで、里江子も同時に死んだんです。
文章は読みやすく、話としては面白いのですが、残念ながらあまり感情移入できずに置いてかれました。思春期の鬱々としたテンションであれば、相当にのめりこめたような気がしますが、今となっては、どうも終始傍観者でしかありませんでした。
長々と書きましたが、非常に暗い!
自分を理解してくれる人が亡くなったなら、また理解してくれる人を見つけにいってほしい。個人的には、そんな希望のあるラストであってほしかったです。
私は、こういうテーマなら「めぞん一刻」の方が圧倒的に好みです。今度は「めぞん一刻」をレビューしたくなりました。