こうの史代さん著の本作を読んでみました。
2004年に書かれた作品ですが、時代を選ばない面白さです。
この漫画を購入したきっかけは、私の好きなポッドキャスト番組「便所のつぶやき」です(現在はyoutubeでライスオンミーというチャンネルに変わりました)。
お笑い芸人のホイップ坊やという方が書籍をレビューする「ホイップ書店」というコーナーで本作が取り上げられていました。2017年なので、もう4年ほど前の話です。
原爆という重めのテーマですが、とても魅力的にホイップ坊やが語るものなので、当時思わずamazonでポチってしまいました。
ちなみに、当時は同じ作者のこうの史代さんの「この世界の片隅に」が映画化されていました。
この映画が非常に心に刺さったもので、本作も気になったという背景もありました。
それ以来、我が家の本棚に眠っていた作品ですが、8月という事もありなんとなく4年ぶりに本作を読み返してみました。
あらすじと感想
広島市への原爆投下から10年後、40年後、60年後を舞台に、ほのぼのした戦後の日常生活の中にふとよぎる原爆投下の光景や、心の中に残る生き残ったことの負い目、いつまでも消えない後遺症への恐怖と周囲からの偏見などをリアリティ豊かに描く。2004年度(第8回)文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞、第9回(2005年)手塚治虫文化賞新生賞受賞作。
「夕凪の街」は、1955年の広島が舞台。
復興後の地に暮らしている被災者の20代後半の女性、皆実が主人公です。
「桜の国」は、1987年、2004年の東京が舞台。皆実の弟、旭の家族のお話です。
テーマは重いけど、とても読みやすい。
打越氏がハンカチをプレゼントするアプローチの仕方だったり、両親の馴れ初めを回想する七波のシーンだったり、絵の雰囲気と相まって、とてもよかった。。
100ページというボリュームで、日常の素晴らしさを直球で伝えてくれる作品って中々ないのでは。
コロナ禍において、中々外にも出にくいし旅行もできないけど、生きている楽しさを改めて考えるような良い作品でした。